●非抜歯のための拡大+リンガル矯正治療
拡大治療
鼻づまりは、ドライマウス症候群を誘発し、唾液が出ないので唾液の殺菌作用、浄化作用を期待できないので免疫力が低下するだけでなく、虫歯、歯周病、口臭を誘発する。そのため、拡大治療(Expansion)が要求される場合がある。

 

唇側の非抜歯矯正治療

   

全部抜歯された猿の脳は、全体的に未発達で、半側抜歯された猿の脳は、抜歯された脳が未発達、抜歯されなかった猿の脳は、発育良好になる。8年眠りつづけて死んだ米国のカレンさんの脳の重量は半減していた。宇宙船の中に居る宇宙飛行士はガムを噛んで頭蓋の血液循環を良くして、大脳の働きを促進し、頭の回転をできるようにしている。彼らは、歯が人間の体にとって大切な器官であるということが理解している。窪田金次郎は、脳内の血流の流れをモニターし、ガムを噛ませることで、脳内血流量が増大し、脳血管の拡張で、神経細胞の代謝が活発る。前頭葉への血流量の活性化は行動意欲を奮いたたせることを示した。

噛むことで脳の血流量が増加し、特に、ドーパミンやノルアドなどの思考力や集中力を高めるホルモンの分泌を促進し、脳の活性化を高める。噛めるようにすることによって、認知症の改善が報告されている。両手を広げて片足立ちの時間は、かみ合わせの悪い人は、短時間しか立っていられない。ねずみを抜歯するとアルツハイマーの原因である脳のアミロイドβの沈着が多くなる。高齢者で痴呆疑い者の残存歯数は、平均、9.4本、そうでない人の平均残存指数は、14.9本であったことが東北大学で報告された。下顎の歯を抜歯したサルの脳には、脳細胞の萎縮が見られる。噛めるようにすることは老化防止につながる。

認知症には、脳血管性とアルツハイマー型がある。アルツハイマー型認知症(痴呆)は、脳細胞が死滅、萎縮して発症する。脳にβアミロイドという蛋白質の沈着によって老人班が見られる。βアミロイドを分解する蛋白分解酵素、中性エンドプチターゼの新薬開発に期待されている。老人班から10年経るとタウ(蛋白質)が神経細胞の中に蓄積し、糸が混み合った状態:神経原繊維変化が形成され、脳は萎縮する。インド人は、アルツハイマーの発症率が米国人の1/4なのは、カレーに入っているウコンの成分であるクルクミンがβアミロイドを分解する。赤ワインのポリフェノールもβアミロイドを分解する。歯を抜歯したマウスにβアミロイドの沈着が見られる。

なぜ、人は、それぞれの歯並びになったり、知能、運動能力に差が出現するのか?人は、それぞれの素質を持つ。素質が異なれば、同じ環境でも環境が及ぼす効果が異なってくる。歯並びにしても、遺伝と環境の相互作用を受けることになる。どんなところにすんでいるか、どんなものを食べるかなどのライフスタイルが、異なる個体が環境に働きかけ、異なる環境を招来する。環境が一定でも固体が異なればその効果が異なる。人は、遺伝と環境に影響をうける。可塑性のある成長期は特に、環境に影響を受ける。環境に影響をうけているのだから、可塑性のある成長期に対処していれば、抜歯する必要性だけではく治療する必要性を減らすことが出来ることが多くなる。

歯牙が咬合しない原因に、1.関節円板の上に、顆頭が乗り上げている、2.浸出液の貯留が考えられる。骨関節炎は、通常、片側性であり、顎がずれてきたと言う。リューマチ性骨関節炎の場合、両側性であり、前歯で噛み切れない、あるいは、側頭、後頭の頭痛を訴える。咬合が起因して、関節の外側極にトルクが加わり、円板の付着部分が伸展して壊れ、円板偏位、関節症、関節炎、腫瘍等が存在した場合の様な顎関節疾患が咬合の干渉を誘発することが考えられる。12~17才は、矯正の治療を受ける年齢である12-17歳は顎関節症の好発年齢で、関節が可動性を示す時期である。なるべく、顎関節のロードになる顎間ゴムや便宜抜歯を控える必要がある。

頭痛がある箇所を指で指してくださいと聞くと90%は側頭筋を指す。患者さんに「口を開けてから閉じてください」と云うと殆どの患者は前方に閉じる。前歯部が当たる直前に下顎を急速に後方に下げるのであるが、この下げる筋肉が側頭筋の前部、中部、後部である。矯正治療は、小臼歯を抜歯し、この傾向が強くなる。スプリントを入れると直前で、後方に下げる必要が無くなる為に疼痛が消失する。痛みは直ぐになくなるが、後治療として、矯正、修復治療で上顎前歯を前方に移動させなければならなくなる事が多くなる。

矯正は、TMD(顎関節症)の出現率が高い。TMDの出現率の平均が33歳であるとすると、この中には、1 群:12才~17才、2 群:25才~40才の2つの群が含まれる。12~17才は、矯正の治療を受ける年齢で、関節が動きやすいの時期で、咀嚼、睡眠パターンもよくない。矯正治療中は、斜面上の接触である時期が長く、顎関節、顔面筋に負荷を加える。抜歯治療によって前歯は後退させ、顎間ゴムによって顎関節に負荷を加えてしまう。疼痛が発生したら、前歯のトルクを増やしたり、顎間ゴムの使用を中断したりしなければならない。その場合、矯正装置の上からスプリントを装着させ、矯正装置を除去する必要はない。約3か月くらい、スプリント、抗炎症剤や理学療法を併用する。

矯正治療し、小臼歯を抜歯することが多く抜歯部位を閉鎖するときに、上顎前歯が舌側に振り込まれると、下顎前歯の唇側に接触し、オーバージェットが少なくなる。下顎を閉口すると、下顎が斜面によって後方に偏位し、顆頭が円板肥厚帯に乗り上げてしまうことになる。そのような場合、スプリントを装着させ、咬合高径が増加させ、下顎が前方移動できるようにする。短い唇を持っている場合も同様で、閉じ様とすると、上顎前歯を押しこむ。もし、矯正治療後、オーバージェットが後戻りした場合、舌側にレジン修復する。

TMDの原因に、1.Congenital abnormality:先天的に顆頭が大きい、小さいという様にうまれてくる場合がある。2.Trauma extermally:30%は事故による外傷。3.Occlusal Trauma(Micro Trauma)は、斜面接触に依って顆頭が偏位してしまうことである。1日2300回嚥下するなら、1日2300回顆頭が偏位を余儀なくされる。Micro Trauma:微小外傷作用として知られる。4.Orthodontics-Oral surgery:小臼歯抜歯で 上顎前歯が直立し、顆頭が後方偏位している。しかし、Anterior Guidanceの為にも、Extが必要になる場合もある5.Skeletal abnormality:足が短い、片側の肩が上がり腰が上がる、背中が曲がるという姿勢は、二次的な、顎関節問題に発展する。