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Face -顔-

Face -顔-

顔は、他人に与える情報であり、好感度、誠実、健康を予測する指標でもある。顔が良い人は、ちやほやされるので、自己愛が強まり、野心や成功を志向する「野心の極」を発達させる。逆に顔の自己評価の低い人は、社会から退却を余儀なくされ、自己防衛的な人格特性を形成し、社会的、異性との性的関係のチャンスを失う。ほとんどの男性は女性と縁がない人が多いが、自分の顔に対する自己評価が高い男性は、自信ある行動パターンを形成し、数多くの女性を誘い、性的関係が華やかなり、肯定的な経験も多くなる。口蓋裂などの歯並び、顔や体に障害を持つ人は、周囲の人から注意が注がれ、プライバシーの侵害を経験し、自尊心、自己愛を喪失させ、周囲から回避し、対人知性の発達が阻害される。このように、個人の顔が行動特性や性格が決定するのである。顔の印象形成に最も、大きな影響をするのは口元であることが示されている。矯正治療は、リケッツによると、歯を動かすことによって顔を改善することだという。ロールプレイなどの行動指導のみならず、矯正治療をはじめとする歯科治療によって、内面的な変化が生じ、コミュニケーションができるようになれば、不安は減少させ、一生を変えることが可能になると考える。

顔の起源

●メディアは、人の価値感、行動に影響し、規範を提供し、メディアが作った顔がかっこいい、可愛いというような外見の基準は、人に圧力をかける。メディアは、非常に顔の良い人を描写するという偏りがあるので、レベルを上げ、劣等感をうみ、顔を直させようと圧力を加えていることになる。そして、患者さんは、準所集団に同調したいという欲求がくすぐられ、歯科治療を受けようとする動因が作られる。

●顔は、他人に与える情報であり、好感度、誠実、健康を予測する指標でもある。顔が良い人は、ちやほやされるので、自己愛が強まり、野心や成功を志向する「野心の極」を発達させる。逆に顔の自己評価の低い人は、社会から退却を余儀なくされ、自己防衛的な人格特性を形成し、社会的、異性との性的関係のチャンスを失う。ほとんどの男性は女性と縁がない人が多いが、自分の顔に対する自己評価が高い男性は、自信ある行動パターンを形成し、数多くの女性を誘い、性的関係が華やかなり、肯定的な経験も多くなる。口蓋裂などの歯並び、顔や体に障害を持つ人は、周囲の人から注意が注がれ、プライバシーの侵害を経験し、自尊心、自己愛を喪失させ、周囲から回避し、対人知性の発達が阻害される。このように、個人の顔が行動特性や性格が決定するのである。顔の印象形成に最も、大きな影響をするのは口元であることが示されている。矯正治療は、リケッツによると、歯を動かすことによって顔を改善することだという。ロールプレイなどの行動指導のみならず、矯正治療をはじめとする歯科治療によって、内面的な変化が生じ、コミュニケーションができるようになれば、不安は減少させ、一生を変えることが可能になると考える。

●顔には、臭いをかぐ鼻、見るための目、食べるための口がある。哺乳類は、進化する中で顔の持つ意味もかわり、表情を持ち、表情によるコミュニケーションをするようになった。ダーウィンは、ヒトの進化に顔が重要であったとした。

人間の顔の役割

ヒトが直立すると顔が前方になくなり、顔の容貌を変化させた。目は頬の上の顔の中心に位置するようになり、幼形を備え、哺乳類の中でも特殊な役割を持ち始めた。ヒトの表情筋はチンパンジーの2倍の数になり、長年の性淘汰によって、感じるようになった顔の美感は、健康を示唆する特徴でもある。表情が発達して見る器官から見られる器官に進化し、見られることによって、相手に情報を伝える。顔は、最初に他人に与える情報として存在するので、人に対して抱く感情を支配する。顔は、覚醒と緊張が生み、快、不快を生じさせ、善悪を判断する基準となり、顔は、過去の学習が修飾し、良い顔は、知性、人格特性、社会的影響力、社会的地位、社会的勢力があると認知する。良い顔は、誠実、好感を示し、人に快刺激を与え、この快刺激という報酬が与えられると、記憶することのできる動物として、借りを返さそうと返報性のルールを無意識に守ろうとするので、顔の良い人に利他的行動をするので、顔の良い人は、善意を受けることになる。

顔の発生

動物とは、動く生物のことであり、一定方向に動く動物に顔が存在する。顔は外界から栄養を吸収する口から始まり、口に目や鼻、耳が加わって顔になり、魚、両性類、爬虫類、哺乳類と進化した。顔は口で捕食する為に、次に目、耳、鼻で、外界の情報を得る為に発達し、見る器官として発達した。

性淘汰

ヒトの顔も性に関連した種内の社会的相互作用の淘汰圧を受けて形成されてきた。自然環境からくる淘汰圧よりも、性的なものの方が強い淘汰圧を及ぼし、顔は、種内相互作用からもたらされた淘汰の結果、形成された。他の脊椎動物と異なり、雄よりも雌の容姿に性淘汰がかけ、より幼形が残っている。小林によると、原人的容貌を嫌い、新人的容貌を好む現象が性淘汰圧となって、現生の人の容貌が作られていったのだという。
Kobayashi,T.(1987),Ethological hypothesis on the origin of the handsome type face in humans.,J.Ethol.,vol.5,pp.1-5.

表情の発達

皮筋-両生類
皮膚につく筋を皮筋というが、皮筋は両生類からみられ、鼻孔の開閉に用いられる。魚類には、皮膚が皮下にへばりついているので皮筋がない。皮筋は、一端又は、両端が皮膚に付くので、体を動かさずに皮膚だけを動かすことができる。

哺乳類(表情筋に進化)

哺乳類は、皮下で動かす皮筋が発達した。たとえば、馬は皮筋によって皮膚を震わせて、昆虫を追い払う。哺乳類は、顔面につく皮筋である顔面筋には、目を閉じるための眼輪筋、口を閉じるための口輪筋があるが、これが表情筋に進化した。表情筋は、骨と骨との間を走る普通の骨格筋と異なり、骨と皮膚との間を走る。爬虫類は、丸飲みするので、頬を密閉させる必要はないので顔面筋が表情筋に進化していない。

霊長類(表情筋が発達)

霊長類は、皮筋は退化し、頚の広頚筋と顔面の表情筋に残るのみになった。目が側方にあったものが顔の前方にきて、立体視ができるようになり、樹上生活での樹から樹へと飛びうつることが可能にした。このように視覚が発達したこととともない、顔の毛を失い、顔の個体識別を促した。霊長類は、表情が発達し、表情を読み取る能力が進化の過程で得られ、コニュニケーションの手段になった。

頬笑み

Van Hoofは猿の表情を9種類に分類した。頬骨筋が働いて頬笑みが作られる。頬笑みは、グリメイスという上下関係で服従を示す劣位の表情が進化したものとされている。それが自分は劣位を認め、親しくしたいと社会的な場面に入っていくときに微笑むように進化した。劣位に自分を置くことでコミュニケーションをしようとする。表情が連動していると、強調したり、弱めたり、言葉の潤滑油の役割し、コミュニケーションへと幅を広げた。
Van Hoof,J.A.R.A.M.1967 The facial displays of catarrine monkeys and apes.In D.Morris(Ed.)Primete ethology.London:Weidenfield & Nicolson.7-68.

ヒト

赤ちゃんは、生後3カ月ころから人見知りが始まる。8か月ころに、表情の違いを見つけていくことができるようになる。社会的関係を持つ生物にとって表情を読み取ることが重要になるように特化した動物にとって顔を見ることが重要になる。ヒトは表情筋が細かく分化し、細かい動きができるように表情が生まれた。表情とは心が表出したもので、うれしいと口元がゆるみ上方に牽引される。笑顔を受けると笑顔が作られるように、他人の表情を見ると同じ表情になるように、相手の表情によって、自分も同じ表情になる。この表情の模倣が、社会性の基礎になり、社会的な信号のやり取りに関係している。表情を見て、同じ表情を返し、共感を形成する。人は互いの表情をまねることによって、コミュニケーションに使って仲間意識、社会的結束と強めることによって、生存に有利になる。表情が進化の過程で発達した

ヒトの獲得した非対称性の表情

無意識であらわす表情に、喜び、嫌悪、怒り、驚き、悲しみ、恐れの6分類あり、左右対称になる。人は、あざけり、皮肉などの特定の意図をもった表情、意識的な感情を表そうとすると、顔は左右非対称性になる表情を獲得した。

表情の認識

右脳は、顔を認識する顔領域であり、表情や身振りを理解する。右脳の身振りは表情を理解する能力が、左脳では、言葉を理解し、用いたりする能力になった。左脳には言葉を司るウェルニッケ、ブローカ野に進化した。

顔の良し悪しがどうしてわかるのか?

ヒトによる認知、行動パターンの違いは、脳、神経系の違いや、神経細胞と神経細胞の接触部であるシナプスの結合の差の現れである。ヒトの容姿選好には、生物学的、遺伝的基礎があるが、生物学的基礎が社会的、文化的状況によって修飾される。霊長類では、刺激図形がどれだけ顔らしいかを判定する脳内回路が進化している。霊長類にある顔細胞の神経細胞群は、図形が顔に近いほど反応するが、ヒトではより強く反応する顔が美しいと思うように進化した。美の元型をべースにした現実の美の基準から離れているほど、醜いと感じ、より顔らしい刺激情報に対して美と感じるように進化し、ヒトの性淘汰を進めた。
人間の顔の美の認識は、顔の形の刺激が入力されると、それが美の元型に後天的に修正を加えてできる現実の美の基準とどれだけあっているかを評定して、よりあっているほど美しいとする認知回路によって行われている。赤ちゃんに大人の顔と野菜の写真を見せると野菜よりも人の顔を注視し、その時、脳での顔領域が反応する。赤ちゃんは相手の目に視線を送るが、顔をさかさまにすると視線が定まらなくなり見なくなる。あかちゃんは、目と口の配置を頼りに顔を認識している。ジュディス ラングロアの研究によると、赤ちゃんは、人種関係なく、大人が高く評価した人間の顔の写真を長い間凝視することを見つけた。生後3ヶ月の赤ちゃんも大人が魅力的と認める顔を、左右対象性を、より滑らかなものを長く見つめる。生まれてくる、美への好みが学習によって習得されたものではなく、赤ん坊は、美しいものを見分け、美しいものを好む能力をもっていて、美の普遍性は、乳幼児に迄及び、美は先天的であり、学習は必要なく、美しい顔を醜い顔よりも好んで見ることを見つけた。
Langlois,J.H.,et al.(1987),Infant preferences for attractive faces:Rudiments of a stereotype?,Devel.Psychol.,vol.23,pp.363-369

子供

人形で遊ぶ少女は、顔の整った人形と遊び、整っていない人形を飾ったりしない。サミュエルズ(1985)は、生後3か月と6か月の乳児にルックスの良い顔の写真とそうでない写真を同時に見せると、ルックスの良い方を長く注視することを発見した。これは、ルックスの良し悪しは学習したのではなく、生得的な感覚であることを示している。子供に女性の顔のかわいらしさを評価させると7歳以下の子供は一致しないことがあるが、7歳以上の子供はすべて一致してしまう。

ヒト

目に映った図形がどれだけ顔らしいか、判断する認知回路があるからである。顔が脳回路で認知される図形が顔に近いほど、調和のとれた美しい顔と認知する。1930年代、ワイルダー ペンフィールドは、脳を司る体の中で、顔が半分以上を占めていることを明らかにした。脳が受け持つ割合を人間の形であらわすと顔、手、舌が大きくなり、いかに、顔、手、舌が重要なのが解る。

どうして美しい顔が好きなのか?

ヒトに普遍的に見られる行動や感情には、過去に適応価があったわけで、ヒトの進化の過程で、美貌を好むという心理機制に適応価があった。異性選択に相手の容貌を気にすることに、コストを上回る適応価があったから、集団内に広まった。美的感覚を伴った可愛い、かっこいいと思うことに適応的価値があったと考えられる。人は無意識に顔の良い人に惹かれ、行動をするが、大抵の行動は、無意識が決定している。行動に決定するのが遺伝子で、自分の遺伝子を後世に残すように行動している。遺伝子に良い相手を見つけてセックスするように書き込まれているので、可愛い顔の個体とセックスしたがる。複製された個体は、美しい遺伝子をもっているので、遺伝子の適応度も高くなる。
ディスモンド モリスによると人の分類好きがヒトの美的感覚の基礎になっている。美しさの感覚とは、外界の情報を分類するにあたって、その調和の程度を測定する感覚として進化したものであるという。
ディスモンド モリス,裸のサル,日高敏隆訳,49-98,河出書房新社,1990
C.G.ユングは、男性の元型であるアニムス、女性の元型であるアニマのように、男女別々の美の元型があるという。カレロは、元型と現実の顔の差が、横顔の美を決めていて、横顔の元型が最も美しく、それから離れるほど醜くなるのだとした。
Carello,C.,et al.(1989),Attractiveness of facial profiles is a function of distance from archetype.,Ecol.Psychol.,vol.1,pp.227-251.

顔の審美の認知(美しい顔の認知)

選挙の勝敗は政策ではなく、多くは、候補者のみてくれで決まるとさえいわれている。男性は、美女の写真を見るとPETでは、ペニスの勃起と関連する脳の個所が活発している。女性は、ハンサムな男性の写真を見ると集中度、注意に関係する部位が活発になることを示している。男性の恋愛の目的は、セックスであるが、女性の恋愛の目的は、子を育てということになる。男女とも恋の病に罹ってしまうと尾状核が活性化し、その人を偏愛し、独占したがる。進化の過程で、尾状核の大きさが増していった時、人を手に入れたいという偏愛の衝動が強まっていったと考えられる。美しい相手の写真を見るとドーパミン値が高まる。ドーパミンは、報酬を得ようとする動機を提供するので、行動に移そうとするようになる。