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Caries -虫歯-

砂糖がないと酸が少なく、胃で細菌が増殖し、マクロファージの機能を低下させ免疫応答を悪くする。エドワード パリッシュは、プラークが免疫機能をはたしていることを証明している。虫歯菌であるミュータンス菌は砂糖(シュークロース)は、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)の2種類の単糖に分解する。さらに、ミュータンスは分解したグルコースをつなげて、グルコースの重合体(ポリマー)であるデキストランという接着性の物質であるプラークを形成し、ニュータンス菌をさらに集合させてしまう。フラクトースは分解され酸になり、乳酸を主とする酸を作ることで、口腔内の細菌を炭酸ガスと水に分解して殺菌する。しかし、この酸は歯の表面のミネラルであるカルシウム、リンを溶解し虫歯を誘発する。これらの単糖類は、肝臓に運ばれ、ブドウ糖に転換され、血中で体内に運搬される。このブドウ糖を細胞でエネルギー源として利用するには、インシュリンというホルモンが必要ということになる。

人間の3つの革命の内の第1の革命は、200万前、狩りに道具を使用しだした。第2の革命は50万年前、火を使い始めた。第3の革命は農耕と牧畜を始めたことだった。虫歯は、人類最初の文明病とされ、火を使用しだして、食生活が変わり、虫歯を持つようになり、50万年前から発見されている。

なぜ、ヒトは砂糖に目がないのか?

Streptococcus mutans(ミュータンス菌)などの乳酸菌が砂糖から作るdextran(デキストラン)は多糖類の一種で腸管のリンパ組織の免疫細胞の機能を活発化する。1986年、エドワード バリッシュは舌の表面に付く細菌、クリプトコッカス ネオホルマンスを除去すると免疫機能が低下することを実証した。砂糖を摂取すると酸性度が高まり(pH低下)、歯の表面のミネラルが喪失するが、唾液の緩衝作用でまた、20-30分経過するとも元に戻る。砂糖がないと酸が少なく、胃の中で細菌が増殖し、マクロファージ(大食細胞)の機能を低下させ免疫応答を悪くする。ストレプトコッカス ミュータンス以外に糖を分解し、酸、プラークを形成する。(下図:ストレプトコッカス ミュータンス)

細菌にStreptococcus Salivarius(ストレプトコッカス サリバリス)、Streptococcus Sanguis(ストレプトコッカ サンギス)があるが虫歯を発生させない。虫歯菌であるミュータンス菌は砂糖(シュークロース)をグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)の2種類の単糖に分解する。さらに、ミュータンスは分解したグルコースをつなげて、グルコースの重合体(ポリマー)であるデキストランという接着性の物質であるプラークを形成し、ニュータンス菌をさらに集合させてしまう。フラクトースは分解され酸になり、乳酸を主とする酸を作ることで、口腔内の細菌を炭酸ガスと水に分解して殺菌する。しかし、この酸は歯の表面のミネラルであるカルシウム、リンを溶解し虫歯を誘発する。これらの単糖類は、肝臓に運ばれ、ブドウ糖に転換され、血中で体内に運搬される。このブドウ糖を細胞でエネルギー源として利用するには、インシュリンというホルモンが必要になる。

1683年顕微鏡を発明したオランダのレーウェンフックは、歯面から採取したものの中に細菌が生存していることを発見し発表した。(下図:レーウェンフック)

Caries Origin

1835年、ロバートソンは、初めて、歯に付着した食物残渣の発酵によって酸が生じて虫歯が発生すると説明した。1860年代、パストゥールは、炭水化物が細菌の機能によって分解され、アルコールや酸を産生し、歯を溶かして虫歯を誘発のだと説明した。(下図:パスツール)

1889年、Willoughby Dayton Miller(ウィロビー D ミラー)は、著書「口腔の微生物学」で化学細菌説を唱えた。彼は、ベルリンの歯科医院の嬢の家庭教師に雇われ、その嬢と結婚し、米のフィラデルフィア歯科大学で歯科を勉強した。義父の歯科医院で働きながら、近くのコッホの研究室に通い、細菌学を勉強し、ベルリン大学の教授になり、口腔内で酸を作る細菌が虫歯を作るとして細菌化学説を打ち立てた。(下図:コッホ)

歯面の細菌が食物から摂取された糖を利用して酸発酵を行い、その結果、生じた酸(主として乳酸)によってエナメル質、象牙質が脱灰され、崩壊させることによって虫歯が発生するとした。1.食物(でんぷん質、パンなどの糖など)を唾液に混ぜて、培養すると酸が生じる。肉にはこのような作用は存在しない。 2.食物は、歯の溝、裂溝、歯間に停滞しやすく、その部は細菌が酸を発生させる。3.食物を分解しては産生する酸は乳酸である。4.エナメル質の虫歯は、酸による脱灰である。5.象牙質の有機成分の分解は無機成分の脱灰の後に生じ、象牙質の有機成分の分解は、象牙質に侵入した蛋白質分解能を有する細菌の作用によると説いた。
1924年、J.K.クラーク(ロンドン、メアリー病院)は、虫歯から、菌ミュータンス連鎖球菌(ストレプトコッコスミュータンス)を分離、発見し命名した。叉、クラークは、ミュータンス菌の形態が変化することを示した。ミュータンスを中性で培養すると球菌が連鎖を形成するが、培地にグルコースを添加すると酸発酵が生じ、酸性に転化すると連鎖を形成する菌種は減少し、細胞は桿状形態に変化するのが、この名前に由来になっている。後、単にミュータンスと呼称されるようになった。1920-30年代は、虫歯菌の原因菌は乳酸桿菌だと考えられていた。(下図:桿菌)


1950年代、オーランド(米、ノートルダム大学)は、糖を分解して酸を生みだす細菌で、マウスに虫歯を作り、虫歯はStreptococcus mutans(ストレプトコッカス ミュータンス菌)による感染性の疾患であることを証明した。連鎖球菌を接種した無菌ラットに虫歯が発生するが、他の菌種では発生させることができない。プラークは水に溶解せず、うがい、唾液でも流されないので器械的に除去するしかないことを説明した。1954年、オーランドは、動物実験で、砂糖を摂取しても虫歯が出現せずミュータンス菌の感染させることによって虫歯が発生する、動物を無菌状態にすると、虫歯が発生しないことを証明した。
Marshはカリエスは多因子の疾患であるのでEcological Plaque Hypothesisを唱えた。頻繁に発酵性の砂糖を摂取すると酸産性Bacteriaが舌背に付着し唾液が低phになり、酸産性細菌Streptococcus mutans, Lactobacillusなどが増殖しPlaqueのpHも低く、カリエスに繋がることを証明した。
カイスは、雌のラットが妊娠、授乳している間にペニシリンとエリスロマイシンを投与すると、子は代々、虫歯にかからないことにより虫歯菌が抗生物質で抑制される菌種であることを証明した。抗生物質で、虫歯菌を排除されたラットは何代に渡って、虫歯ができない。しかし、虫歯誘発性連鎖球菌のストレプトマイシン耐性の突然変異種を感染させると、再び、虫歯が発生することを示した。

Marshはカリエスは多因子の疾患であるのでEcological Plaque Hypothesisを唱えた。頻繁に発酵性の砂糖を摂取すると酸産性Bacteriaが舌背に付着し唾液が低phになり、酸産性細菌Streptococcus mutans, Lactobacillusなどが増殖しPlaqueのpHも低く、カリエスに繋がるとした。

カイスは、虫歯の原因は、体質、食事に関係なく、虫歯を誘発する細菌が存在しているか、いないかに起因していることを発見した。カイスは、虫歯に発生に必須条件を示すカイスの輪というモデルを作り、歯、虫歯菌、食物(シュークロース)の3つが重なった場合が虫歯を誘発すると説明した。1960年代、カイスは動物実験でミュータンス菌を感染させることによって虫歯が発生することを確認した。

Thickness

プラークが厚いほど、唾液が酸性の唾液を希釈する可能性が低くなり、フッ素が塗布してもアクセスしにくくなる。長期的に、マイクロフィルターを通して水素イオンが入っていって、カルシウムイオン、ハイドロキシフォスヘェートイオンが出て、脱灰が起こり、カリエスになる。食事をすると、その食物の発酵によって口腔内の酸性度が高まるのであるが、経時的に唾液によって中和されて元の酸性度に戻るので虫歯に罹らない。しかし、中和させる迄の時間を待たないで間食をしてしまったりしていると、酸性状態が保たれ、口腔内のホメオスターシスを崩壊して細菌叢を変化し、常在菌が死滅し歯の表面に付着能力を有し酸耐性菌が歯に付着して層を形成すると更に、唾液で中和さえなくなり、酸酸性菌が生む酸が歯を溶かし虫歯を作ることになる。
カリエスは多くの因子が関与し、カリエスの発生はカリエス原生のプラーク、発酵性の糖質、プラークのPhが低い、リテンティブファクター、フッ素の外的な修飾因子のインタープレイによって異なってくる。プラークの多いところに初期カリエス、歯肉炎、齲窩ができやすくなる。齲蝕原生のプラークを残すのでカリエスになるのである。

Others

アクチノマイセス ビスコーサス
放線菌のアクチノマイセス ビスコーサスの歯根部に虫歯を形成する。
ラクトバシルス
乳酸かん菌のLactobacillus(ラクトバシルス)は、乳酸桿菌の一種で、口腔、膣内に存在するバクテリアで、虫歯を拡大する。 女性の生殖管の粘膜には、ラクトバシルス菌を始めとするバクテリアが存在し、それらが作り出す生態系は、HIVのバリアとして機能する。ラクトバシルス菌の欠如は、尿路感染、細菌性膣症と関連し、HIV感染率を上げる。スタンフォード大学医学部のピーター リーは、Lactobacillus JenseniiにCD4の遺伝子を組み込んだ。CD4はHIVに取り付く蛋白質で、遺伝子操作されたバクテリアはCD4を分泌し、HIVを拘束し、人に感染する前に殺傷する。遺伝子操作されたラクトバシルスが、上皮細胞のHIV感染率を減少することからこの膣用座薬が開発されている。 化学物質、紫外線、X線照射の突然変異誘発材で、病原因子を担っていると考えられる性質Xのみを欠落した突然変異株、非水溶性グルカン産生能を失った突然変異株の病原性は著しく低下している。菌体内グリコゲンを蓄積できなくなったミュータンスの突然変異株の虫歯誘発能は低下する。

Caries Formation Factor

アクセルソンは、虫歯の4大因子は、Food,Time,Host,Vacteriaとした。カリエス症状と発症率に関係する要因に、遺伝、年齢、PFRI:プラーク形成速度指数、ラクトバシルス、ストレプトココッスミュータンスの存在、唾液分泌速度、唾液緩衝能、デンタルケア習慣、シュガークリアランスタイム、慢性疾患、社会経済的な状況、教育レベルがあるとした。疫学調査は、両親、個人の教育水準レベルが高いほど全身、口腔内の健康状態が良く、社会経済的要因が重要であることを示している。唾液分泌能を低下させるものに感染症、慢性疾患、投薬がある。
プラーク形成に影響する因子は、歯の数、歯の解剖、Plaque Retentive Factor:歯面のRoughness、歯面の微小解剖、修復物などによって歯面がラフであれば、プラークが除去されなく、再付着しがちになる。

虫歯の好発部位

萌出中の歯牙では48時間後で、歯牙の遠心窩、中央窩で4倍も早くプラーク沈着する。裂溝カリエスは全て萌出期のみに生じる。大臼歯は、1年から1年半で 萌出するので裂溝カリエス罹患しやすいが小臼歯は、1〜2月で萌出し、萌出期が短く、裂溝カリエスにならない。プラークコントロール、フッ素塗布し、徐放 性のフッ素を含有するグラスアイモノマーのフジフリー、フジフリーLCなどを萌出期の歯牙にシーラントする。それが無くなっても、大臼歯が萌出しているの で問題はない。完全に萌出したカリエスフリーの歯牙には、シーラントするということはナンセンスでオーバートリートメントということになる。完全に萌出し た歯牙はカリエスリスクが無いからである。(下図)

カリエス予防対策

お茶に含まれるエピガロカテキンガレートはカテキン(茶タンニン)の一種で、エピガロカテキンガレートはインフルエンザの表面の突起に付着し、ウィルスが細胞に取りつくのを阻止する。エピガロカテキンガレートは虫歯菌を殺傷し、歯垢を作る酵素の機能を抑制する。赤ワインに含まれるポリフェノールは認知症を予防するといわれているが、お茶に含まれるポリフェノールは糖尿病を予防し、歯ではミュータンス菌の増殖、プラーク形成を抑制し虫歯を抑制する。お茶に含むカテキン(茶タンニン)は虫歯菌を殺傷し、歯垢を作る酵素の機能を抑制する。 (下図:お茶)

ミツバチは、ポプラ、ぶな、松などの樹脂をかみ続け、それを唾液中の酵素と混合して形成されたフラボノイドを濃縮したプロポリスという樹脂で巣を作る。又、唾液中に含まれるこのフラボノイドは、殺菌作用を有するので、巣は殺菌され、清潔に保たれることになる。フラボノイドを濃縮したプロポリスは、消臭、殺菌作用を有するので、ガムに入れられたり、健康補助食品として販売されている。プロポリス(propolis)は、ミツバチが野外から採取した植物の樹脂などを練り合わせ、営巣空間の内面を内張りしたり隙間を埋めるのに使う物質で、フラボノイドとは、ポリフェノールと呼ばれるより大きな化合物グループの代表例。その中にアントシアニン、カテキンやフラバンを含む広い概念。

Factor

Sugar Comsuption
毎日、20gが砂糖が摂取されているが、直接的な砂糖消費が減少しているが、食事、ソフトドリンク、お菓子からの間接的に砂糖消費が増加している。アクセルソンは、口腔衛生の悪い子どもに、ピンポンボール大の甘いねばねばしたお菓子、チュッパチャップスを与えて、歯牙を清掃しないで、プラークを蓄積させても20%は虫歯にはならなかったことを見つけた。このことは、宿主の抵抗力を考慮しなければならないだけでなく、砂糖は、外的な修飾因子の1つにしか過ぎなく、虫歯は多因子疾患であるということを確認させた。 (下図:チュッパチャップス)



スクロースは、サトウダイコン(甜菜)10-17%とサトウキビ(甘蔗)15-20%で形成される。リンゴ、オレンジ、グレープフルーツのスクロース含有量は2-4%、桃は5%、キャベツ、ブドウ、チェリー、セロリなどは1%以下である。加工食品では、パン2%、アイスクリーム10-20%、チョコレート30-60%のスクロースを含有している。天然食品には、スクロース以外に、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)を様々な割合で含んでいるので、様々な甘味になる。
ソルビトールは、イチゴ、さくらんぼ、リンゴ、梅に含まれている糖アルコールで、カロリー価は、スクロースと同程度、甘味度はスクロースの約60%、虫歯の発生能は低く、吸湿性が強く、吸湿性が強く、湿潤剤として歯磨に10%含まれている。キシリトールは、プラーク形成能、ミュータンス生息数も低い。サッカリンは、スクロースの500倍の強い甘味をもつ化学物質で、ダイエット用の非カロリー性甘味料として清涼飲料水、アイスクリームに添加されているが発癌性がある。アスパルテームは、スクロールの100倍以上の甘味があり、アスパラギン酸とフェニルアラニンから構成される合成甘味料である。

ベントは、1歳児で親がクリーニングしていると、3歳児で虫歯にならないが、1歳児で歯肉炎、歯垢が付着していると3歳で虫歯が蔓延していることを見つけ、夜間に甘い物を飲むことが虫歯を増悪するので、Oral Hygiene Habitを早期に定着させる必要があるとした。保護者の人が、子どものFissureをCleaningし、歯科医がPMTC、Fluolide塗布を行ことによって、初期カリエスが、3年間で再石灰化が達成され、カリエスフリーになることが示した。

Saliva

アミラーゼ
唾液の主目的は、でんぷんをアミラーゼという酵素でマルトース;麦芽糖に加水分解することである。

唾液の分類
唾液には、a.唾液の刺激による分類とb.唾液腺による分類があるa.唾液の刺激による分類は、1.刺激唾液と2.無刺激唾液がある。1.刺激唾液とは、視覚や嗅覚に刺激されて分泌される唾液で、食物を消化する為に、消化酵素等の濃度が高い。b.唾液腺による分類は、1.耳下腺、2. 顎下腺、3. 舌下腺による唾液がある。1.耳下腺は、唾液をもっとも多く分泌し、耳下腺ホルモンであるパロチンを分泌する。 3.顎下腺から分泌される唾液は、よくかむと顎下腺から分泌され、この唾液に包含する表皮成長因子が精子の生産とその運動能力を増大する。

耳下腺を切除や放射線治療で唾液が分泌されなくなると、その側の虫歯、歯周病がひどくなる、入れ歯を安定させることができなくなる。 雄ねずみの顎下腺を除去すると、メスを妊娠させる能力が1/3に減退する。この3つの大唾液腺と多数の小唾液腺、歯肉溝の分泌物で構成される。大唾液腺は、睡眠持に分泌しない。
唾液腺は、卵巣ホルモン、エストロジェン、男性ホルモン、アンドロジェン合成に関与している。エー リウ(マサチューセッツ大学医科センター必尿・臓器移植外科)は、ラットの顎下腺を除去すると、精子形成能力、生殖能低下することを示した。

唾液の4大機能、1.歯面の清掃。2.カルシウム、リン酸、フッ素イオンを介して、歯の溶解性を低下、カルシウムは蛋白質と結合し、歯の溶解を阻止するが、歯石を形成する。3.緩衝作用、唾液の緩衝作用によって、口腔内細菌の発酵作用の結果生じた酸、食品中に含まれる酸による歯の溶解を阻止する。4.細菌育成抑制作用、唾液中の重炭酸塩、リン酸塩は、酸性度を保ち、リゾチーム、ペルオキシターゼ、ラクトフェリンなどの酵素は細菌の成長を阻止する。


唾液の1日分泌量は、ビール2本分である。食事の刺激で、唾液の分泌が促進されるが、夜間は、分泌量が減少し、口腔清掃がうまくできなくなる。唾液量は、妊娠は減少するが、タバコは増加させる。男は女よりも唾液分泌量が多い。50歳以上の人の3人に1人は、定期的に薬を服用し、唾液分泌速度が低下しているので、定期的なデンタルケア習慣、フッ素使用、食事、唾液刺激指導する必要がある。一方の耳下腺を切除したり、放射線治療し、唾液が分泌されなくなり、その側に虫歯、歯周病がひどくなる、入れ歯を安定させることができなくなる。その為に、鼻呼吸を促し、しっかり噛めるようにする必要がある。
歯牙の萌出と同時に唾液中の糖蛋白(ムチン)等がエナメル質に付き、歯牙表面に有機性の被膜が形成される。有機性の皮膜、ペリクルがエナメル質表面からのカルシウムやリンの溶出を防止し、虫歯を予防する。


ストレスは、全身の免疫機能を低下させる。リラックスして食事している時は、副交感神経に支配され、さらっとした漿液性の唾液が分泌される。いらいらしたりして感情に起伏があるストレス状態の場合には、交感神経に支配されねばねばした粘液性の唾液が少量分泌され、虫歯、歯周病に罹患する傾向が増加する。
唾液は対外に放出されない。妊娠は、唾液が減少するが、タバコは、増加させる。男は女よりも唾液分泌量が多い。

IgA
唾液中のリンもカルシウムとともに歯を強くする。唾液には細菌感染から守るS-IgA(イムノグロブリンA)という抗体が含まれている。不安、恐怖がS-IgAの分泌を減少させ、快刺激、例えば笑とかが増加させるが、笑わせ過ぎると、逆に減少する。乳児院、養護施設などの施設の子ともたちがカリエスフリーである。そうしたこどもが里子に出されると、虫歯が発生するという。しかし、ある施設では全く、入所者の口腔衛生を怠たり、雰囲気も悪いところもあり、ある歯科医の障害者の子どもを入所させたところ、歯周病が悪化し、慌てて、退出させたという。免疫グロブリンAは、細菌の付着機能をマスクして細菌感染防止する。

創傷治癒作用
唾液には、創傷治癒作用があり、動物は、お互い傷をなめあって治癒させようとする。
唾液は、創傷治癒を促進する。血液と唾液を混ぜると血液凝固時間が短縮される。唾液中の血液凝固物質のトロンボプラスチン様物質が血液凝固させるのである。血液凝固作用は、血液中の繊維素原:フィブリノーゲンという蛋白質が繊維素:フィブリンになると血液が凝固し、止血される。血管内で血液が凝固しないのは、血管内から繊維素:フィブリンを溶解させる酵素、繊維素溶解が線溶が溶出しているからである。実験で、マウスに傷をつけるとお互い傷をなめあうのであるが、1.唾液腺のある群の傷の治りが最も早い。2.唾液腺を縛って唾液が流れないようにした群が次に早い。3.唾液腺を除去された群の傷の治りがもっとも遅いことが判明している。
スリランカに生息するとトクモンキーは、傷を互いになめあう。唾液には、ウィルスやバクテリアの増殖を抑制する機能があり、生存には、欠かせない行動である。怪我をなめてくれる人がいるので、群れにいる必要がある。チンパンジーの傷のなめあいは、負傷者の欲求を理解し、傷による痛みに感情移入したことの現れであると考えられている。