私のファイトは、U-Tube,「あいび矯正歯科」で見ることが出来ます。
最近の試合は、悲惨すぎるので、アップしていませんが、見たい人は連絡してください。

 

タイに連れていってくれた菅沼さんと、試合後 当時の世界チャンピオン、カオサイとスパー 東洋のタイソンという異名を持つカオサイと
     
   

未だに私がかつて、所属していた千葉県アマチュアボクシング連盟から手紙がポストに入ってくる。しかし、もうボクシングする年齢ではない。還暦だ。もう勝てなくなっているが、それでも、試合に出場したがる懲りない性格。15年、生まれて初めてストップ負けした。それから出場していないが、持病の腰痛、変形性膝関節症が治ったら、また出るつもり。私は大学入学した当初、入ってきた同級生は、育ち、スタイルも良く、頭も良さそうで、スポーツも勉強も全く出来なく、昆虫のことしか知らない私は、彼らについていけそうになく、入学式で一変で憂鬱になり、不安に苛まされることになった。当時は、バブルの絶頂期にあり、大学の試験問題や国家試験の内容が漏れる時代だったので、馬鹿な私でも、全く勉強をしないで、大学を卒業し、歯医者になることができた。大学時代、隣に座っていたデブが「痩せたい、痩せたい」というので、「ボクシングでもやれば」と云い、そのデブが勝手に作ったボクシング部に勧められて安易に入部のサインだけした。亡くなったが、クラブでバーテンしながら苦学していた同級生の増田伸也さんが、ボクシングを教えたがっている元東洋ランカーのプロボクサーの介川力さんを連れてきたため、ボクシングを始めなければならなくなった。以後、開業する迄、ボクシングに関わることになった。試合に勝ってレフリーに手を上げられ、優越感に浸っている時は心地よく、自己愛が高まり、野心の極が形成された。しかし、私にはボクシングに対し、根性、自制、苦痛に耐える能力、基礎体力、耐久の肉体、能力も持ち合わせていない。多くの歯科医がそうであるように、大学を卒業して、歯科医として生産的な仕事に携わっていくのであるが、いい加減で、社会的不適応の私は、大学卒後、動物や昆虫を求め、沖縄に渡り、基地に忍び込んだこともあった。沖縄から内地に戻ってから、添乗員を始めたり、ボクシングシジムに行き、スパーリングしたり、若い選手にボクシングを教え、貧しい彼らを食事に連れて行ったりすることに喜びを感じ、実生活からどんどん遠ざかっていった。中学の時、お茶の間で、ルーベン オリバレスと金沢和良との世界バンタム級タイトルマッチを見た。当時、世界チャンピオンのオリバレスは、死を呼ぶハードパンチャー、Mr.ノックアウトと言われ、予想は、金沢の早い回にKO負けだった。最初、金沢がオリバレスの強打を警戒して、アウトボクシングするのだが、中盤から、オリバレスに捕まった。後半なって、打ち合いになるのだが、金沢は声を上げてオリバレスにかかっていった。オリバレスは、セコンドに「もう棄権したい」と言っていた。無理やりセコンドから出されたオリバレスは、その回、金沢をKOした。高校1年のとき、死に急いだ大場政夫は、びっこ引いたまま壮絶な逆転劇でチャチャイをKOした。強打の世界チャンピオン、ルペ ピントールに挑んだ村田英次郎は、ピントールの強打を恐れず、勇敢に挑み、惜しくも世界を逃した。このビデオは、俺が試合やる前日に、自分を奮い立たせる為に、何度も繰り返して見ていた。ボクシングに関わり、名場面、ドラマ、そして、ひたむきで勇気があり、優しく心許せるジムメイトが沢山出来た。ボクシング程、選手寿命が短く、ファイトマネーは貰えない、チケットを自分で売らなければならないので、これほど、過酷で割の悪いスポーツは無い。喜び悲しみ、悲劇、刹那的に、試合に怯えながら、減量し、人間の極限に挑み、ダメージを必ず被る。いずれ迫り来る、スピードが落ち、打たれ脆くなり、若いボクサーに倒される。そして、ボクシング生活を諦め、リングから去ってから存在している第2の人生を見てきた。私の愛犬、ボンコを可愛がってくれて、いつも、噛ませ犬の役割を演じてリングで死んだセンタースポーツジムの選手、食事に付き合ってくれる高橋直人と死闘を演じた、故、小林智明さん。一緒にスパーし、飯食い、そして、励ましあった山本さん。唯一、日本チャンピオンになれたマーチン、?何時も夕食に付き合ってくれた。彼から食らったボディ ブローは、断末魔の苦しみだった。今は、レフェリーやっていて、テレビで彼のレフェリングを見ている。彼のボクシングスタイルは、私が確立したと思って自画自賛している。試合を止めるのが早すぎると非難されるが、それは、彼の優しさだ。何時もおかしなジョークばかり言う、1勝も出来なかったガンちゃんは?思うときりがない。しかし、日本チャンピオンになれるのは、ほんの一握り。万が一、チャンピオンになっても、長くその椅子に居座ることはできない。運、もって生まれたセンス、血の出るような努力、折れない精神力、打たれ強さ、そして、トレナーに恵まれたものだけがチャンピオンの栄光を受けることが出来る。少年時代の夢を抱いて田舎から出てきたボクサーがある限りの力を振り絞って挑む、淘汰されそして脱落していく悲劇が存在していた。